スーツのパンツの裾やスラックスの裾のダブルとシングルで違いは、フォーマルや礼服などでは厳格な決まりがありますが、普段のビジネススーツではそれほど堅苦しいものはありません。
シングルの裾、ダブルの裾はそれぞれのクッションの入り方でオシャレにもなり、ダサくもなります。
礼服などのフォーマルであれば絶対にシングル
そもそもですが、フォーマル、デレクタースーツなどの礼服と呼ばれるスーツの裾は絶対にシングルです。
またモーニングコート(スーツ)の裾は、モーニングカットというスーツのスラックスの裾の前と後ろで0.5cm~1.0cmほど差寸を付けて、たるみ(クッション)を入れないようにした裾の仕上げにします。
スラックスのダブルはもともとオシャレが由来
もともとスーツの裾(スラックスの裾)はシングルしかありませんでした。
由来としては、ある雨の日にスーツを着ていた紳士がズボンの裾を雨で濡らしたくないのでまくり上げたところ、ダブルの歴史は始まっています。
それが、意外とオシャレに見えたことから広まりだしました。
この話には諸説あり、どっちが本当か分かりません。
- 紳士がそのままパーティーに行って広まった説
- 新聞記者が写真を撮ってそれが広まった説
比較的ダブル仕上げはオシャレな印象やニッカポッカのように裾をまくりあげることから、スポーティーでカジュアルな仕様になります。
結婚式に招待される側であればスーツの裾はダブルでもOK
ただ裾がダブルだからと言って、自分が結婚式の主催者側でなく招待された側であれば、出席する際のスーツの裾はシングルだろうがダブルだろうが決まりはありません。
普段のビジネススーツでもダブル仕上げにしても問題はないです。
スーツやジャケットスタイルで違いはある?
イギリスやイタリアでのスーツでの違い
- イギリスのスーツの裾はシングル
- イタリアのスーツの裾はダブル
イギリスに行くと裾はシングルの人しか見かけません。ファッション業過の人間であれば別ですが、イギリスのビジネスマンはシングルの裾がスタンダードです。
また反対に、イタリア人は裾がダブルの割合が多いですね。
ちなみに日本の場合は、少し特殊です。
日本のスーツ業界はイタリア色が強い
毎年開催されるイタリアのピッティウォモが世界のファッション業界の中心なので、どうしても日本も常に影響されていてスーツ業界はイタリア色が強いです。主に百貨店やセレクトショップなどですね。
その為、スーツの販売員のスーツの裾のスタイルは、ほぼダブル仕上げにしている方が多いですし、販売されているスーツもイタリア的なスーツが多いです。
ちなみに日本で販売されているイギリスのブランド(ライセンスブランドも含む)の販売の方でも、裾はダブルにしている方ばかりですし、ダブル推ししてきます笑。
イタリアとイギリスに関するスタイルについて、詳しく下記記事でも書いています。お時間あるときにでもご覧ください。
⇒スーツのイギリスとイタリアの違いを2つのポイントでまとめてみた
ジャケットスラックススタイルなら裾はダブル
またここ近年はクールビズ・ウォームビズスタイルでジャケットスラックススタイルの方が、オフィスでも増えていますが、スーツと同様に売られているジャケットは、アンコンスタイルのイタリアンジャケットが多いです。
その為、ジャケットスラックススタイルであれば裾はダブルのほうが相性はいいですね。
アンコンジャケットについてはクールビズの記事で少し触れています↓
⇒クールビズの服装男性の着こなしをおしゃれにする4つのポイント
それぞれの仕上げで気を付けること
シングル・ダブル仕上げに共通して言えることですが、裾に少しクッション(たるみ)を入れるほうが足元に重厚感があり大人な着こなしになります。
優秀なスーツの販売員の方に接客してもらい裾上げしてもらえれば心配する必要はありませんが、裾上げの予備知識として知っておいたほうがいいことは色々あります。
もちろん、ご家庭で裾上げする方もいるかもしれないので参考にしてください。
シングルの場合
基本的にシングルはワンクッションがおすすめです。
というのも、シングルは裾の重みがダブルよりもないため短すぎるとツンツルテンになってしまいかなり不恰好になります。
ですので、シングルはなるべくワンクッション(たるみ)を入れる仕上げにしてもらいましょう。
特に背の高い人には、裾が靴の甲にたわむワンクッションは非常にカッコいいです(新宿伊勢丹でみたリチャードジェームスはかっこよかった)。
スラックスの裾と靴の甲の高さによっては、裾のたるみの入れ方も変わってきます。
そのあたりは↓の記事、靴の選び方で少し触れています。
また冒頭でも言ったモーニングカットは、普通のビジネススーツでもする方もいますが、やや年配の方や団塊の世代に多いですね。
モーニングカットは、ビジネススーツにする必要性は個人的に感じません。
ダブルの場合
またダブルはハーフクッションかノークッションがおすすめです。
個人的には、ハーフクッションがちょうどいいと思います。
ノークッションはここ近年は流行っていますが、するのであればくるぶしは見えないようにしたほうがいいですね。
ノークッションの場合は、裾幅を相当細くして着ると映えるスタイルです。
分かりやすいのが、イギリスのウィンストン・チャーチルの着こなしです。
彼の場合は、太っちょな体型なので体を細くスマートに出来るだけ見せるために、スーツ全体も含めシルエットを絞りに絞っています。
裾もダブルにしていますが、ほぼノークッションにしていています。
ダブルの幅
ビジネススーツであれば、3.5~4.5の間、個人的には4.0cmが無難です。ジャケットスラックスでも同じような幅でOKです。
人によっては4.3cmだとか、0.1cm単位で指定する方もいます。販売員の方に言えばやってもらえます。
ただデザイナースーツなどの細身のスーツの裾だと、3cmにする人や2cmにする人もいますが、あまりオシャレだと思いません笑。
糸止めorボタン留め
またダブルの場合、折り返した部分とスラックスを繋ぐために、糸かボタンで留めています。
糸留めかボタン留めがどっちがいいかというと、個人的にはボタン留めです。
ダブルはどうしても折り返したところに埃がたまります。それを取るときに糸留めだと取りにくいです。
クラシックにこだわる人は、糸留めが好きな方は多いですが、利便性を考えれば断然ボタン留めですね。
シングル仕上げでにしてもダブルに変更はできる?
基本的には、縫い代が残っていればシングル・ダブルどちらにでも双方に変更はできます。
シングルの場合は、裾上げ時に余分な布を切るので、スラックスの裾のスタイルを変えるかもしれない人はその旨を事前に伝えるといいでしょう。
縫い跡や折り跡などが残る素材もあるので、裾上げの際に相談したほうがいいですね。
まとめ
- フォーマルスーツならシングル
- イギリススーツはシングル、イタリアスーツはダブル
- ジャケットスラックススタイルであればダブル
- シングルはワンクッション
- ダブルはハーフクッション
最終的には、スラックスの裾をダブルかシングルにするかは個人の好みになってきます。
答えは本当にありません。オシャレに答えはありませんよね笑
ただフォーマルならシングルで間違いないので、あとはそれぞれの裾に仕上げにする時だけ、色々と気を付けるだけです。