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スーツ生地のウール素材(毛)とポリエステル素材についての違いについて書いてみました。

ウール100%もあれば、ウール90%ポリエステル10%など色々な混率があります。その違いについても書いています。

レディーススーツでも男性と共通のことなので女性でも参考になるかと思います。

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スーツのウールとポリエステル生地の素材の違いは強度!

まず、ウールとポリエステルの使われているスーツ生地で、一番の違いは生地の強さです。

ウール100%の生地とウール90%ポリエステル10%の生地の場合

例えば、同じ目付※の重さのウール100%とウール生地に10%のポリエステルを含んだ生地だと、ウール生地の補強の意味合いでポリエステルが絡められることが多いです。

特に夏用のスーツであれば、軽いウール素材だけだと生地が経たりやすくなるので、ポリエステルを入れることによってウール100%のスーツよりも長持ちしやすい生地になります。

また梅雨の時期であれば、ポリエステル素材が混紡している生地のほうが、雨や湿気などでスラックスの折り目が取れづらいという特徴もあります。

スーツの生地の目付(めつけ)とは?
スーツの生地(ジャケットも含む)の重さを表す言葉で、1m×1mあたりの重さ、生地の密度のこと。既成スーツよりもオーダースーツなどの現場でよく使われます。

例えば夏であれば200g代、冬であれば300gが基準としてあります。

※例外として夏の生地で、マーティンソンのフレスコ生地やエドウィンウッドハウスのエアウールなどは目付が380~400gで重たいです。

発色も実は違う

ただ実はポリエステルを使うことによって、スーツ生地の発色も少し違ってきます。

ピンストライプのスーツ生地

例えば、ピンストライプ柄のスーツであればポリエステルを混紡させることによって、色のコントラストをはっきりさせる役割などもあります(ウール100だとぼやける)。

ですので、混率が0.2%などのポリエステル混紡のスーツでしたら、デザイン目的でポリエステル素材が含まれている場合もあるので覚えておくといいでしょう。

関連記事:スーツ生地の選び方-賢い方法は柄の種類を知っおくこと

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ポリエステルの混率が多い生地は強度目的だけではない?

また、ポリエステル素材は生地の強度を良くする目的以外にも2つの理由があります。

生地の安さ生地の軽さです。

特に生地の安さがあるため、安価なスーツ(百貨店の2着セールスーツや量販店の中国製スーツ)のイメージがポリエステルにはつきがちです。

実際、混率が100%のモノや、ウールと50%50%の生地はコストは安く仕上がっています。

加えて、ポリエステルの混率が多いとムワッと熱がこもりやすい為(ポリエステルは吸湿性に乏しい)※、ウール100%の生地と比べると裏地に汗が貯まりやすく、スーツのクリーニングの頻度が増えやすいです。

※生地の折り方によって違います。平織などの場合は生地密度が濃くなるため、熱がこもりやすいです。

ポリエステル混率が多くても高級生地はある

ですが、ポリエステル素材を多く含んだ高級生地もあり、また夏専用でのスーツでポリエステルを多く含んだ生地の軽い高価なスーツは多くあります(三越PBド―ランドハウスのウルトラクールや、オンワード樫山の五大陸のギガクールなど)※。

※生地の織り方が特殊です。いわゆるポップサックの生地です。網目状でジャケットに主に使われるざっくりとした織り方です

夏のスーツの着こなしメンズ-色や生地、素材の賢い選び方-

↑の記事でも触れていますが、ミユキ毛織のシャリックなどはポリエステルを多く含んだ夏のスーツ・ジャケットの高級生地の定番です。

ただ一着最低でも10万はします。

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高いスーツにポリエステル生地が使われない理由

↑でも言ってるようにポリエステルを使った高級生地として知られているメーカーもありますが、高いスーツにポリエステルが使われない一番の理由があります(厳密に言うと使いにくい)。

ポリエステルは高級スーツ特有の立体的な仕立てに向いてないからです。もちろん前述したようにポリエステル=安いというイメージを嫌う人がスーツ好きには多い(偏見ですが)ということもあります。

ウール素材は仕立て映えがする

ウール100%ですと、ウール特有のしなやかさと弾力性で曲線を作りやすいのですが、ポリエステル素材が多すぎると糸の反発力が強すぎて、スーツを立体的に見せるための肩回り胸回りのドレープ(立体感)が作りにくいのです。

フルオーダースーツや既成の高価なスーツは、曲線部分(胸回り)を馬の鬣(たてがみ)を使った毛芯でアイロンワークで立体感を出すため、しなやかなウール100%の生地のほうが相性がいいわけです。

ただ先程も言った、夏用のポリエステルを多く含んだ高級生地の軽量スーツなどは例外で、胸周りは接着心を使ってる場合が多いです。

毛芯と接着心とは?
通常、スーツの胸回りの前釦の第1ボタン付近まで芯地が入っています(もちろん肩回りなど他の部分にも芯地は入っている)。

高いスーツになると馬の鬣を使い立体的に仕立てていますが、安いスーツになると接着した人口の芯地をくっつけています(接着心は大量生産しやすい)。

実際、店頭に置かれている段階では綺麗にプレスされた状態でどちらかは分かりません。ちなみに馬の毛芯を使っていても、フル毛芯、ハーフ毛芯と2種類あります。

金額的な目安はこんな感じです。

  • フル毛芯…15万以上
  • ハーフ毛芯…5万~15万
  • 接着心…5万以下

あくまでも目安です。メーカーにより異なります。

まとめ

  • ウールにポリエステルが入ると強度アップする、発色のコントラストも良くする効果があり
  • ポリエステル素材は軽く夏のスーツに最適、織り方によっては熱がこもりやすい
  • 仕立てのいいスーツはウール素材が相性がいい

あまりポリエステル混率が多いスーツは買いませんが、ウールよりも長持ちはしやすいので、個人的には営業スーツ向けかなぁと思います。

↓の記事も参考になればと思います。

営業のスーツは何着必要か?

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